この記事では、ブログに使う「ハンドルネーム(HN)」について、SEOの観点から考えたことを文章にしてみた。
ハンドルネームの考え方に不安がある人は、参考になるはずだ。
なぜハンドルネームにまでSEOを考える必要があるのか
さて、なぜハンドルネームにSEOのことまで考えなければならないのか。
きっと、多くの人は「ハンドルネーム?自分のニックネームでよくね?」と安直に考えてしまうことだろう。
しかし、この広大な電子世界で「たったひとりの存在」を確立するには、ハンドルネームの決め方がとても重要になってくる。
決して、なんでもよくは、ない。
ドメイン名とハンドルネームは合わせたい
以前、私はドメイン名の決め方に関する記事を書いた。
その記事では、「ドメイン名はハンドルネームと合わせた方がシンプルで覚えやすいよ、また汎用性も高いよ」といった趣旨の内容を書いた。
ドメイン名がハンドルネームと同じということは、このブログは誰が運営しているのか、誰が書いているものなのかが一目でわかる。
つまり、管理者とブログをセットで覚えてもらいやすくなるといった利点がある。
こういったわけで、ドメイン名を考えるときは必然的にハンドルネームを考えることになり、そのときにSEOの問題が付いてくる。
記憶に残りやすいドメイン名は信頼される
現在、SNSではブログカード機能と言って、貼られたリンクを自動的に見栄えの良いサムネ付きのものに変えてくれたりする。
しかし、未だに多くの電子掲示板やQ&Aサイト、Wikiやフォーラムといったナレッジコミュニティサイトでは、貼られたリンクはそのままの文字列で表示されることが普通だ。
また、どの検索エンジンの検索結果のページ上でも、記事タイトルの上下どちらかに目立つようにドメインが表示される。
このとき、以前あなたの記事を閲覧した人が、あなたのドメイン名を覚えていたらどうなるだろうか?多くの場合は「このドメインで始まるリンクは○○さんのサイトの記事か。見てみよう」となるはずだ。
ふつう、何かを記憶するときは、ふたつをひとつのセットで覚えたほうが忘れにくくなる。そして、それがどちらも同じ意味を持つものならばなおさらだ。つまり、ハンドルネームとドメイン名を合わせていたら、「○○さんの○○.com」と憶えてもらいやすくなる。そして、人間に限らず、動物は本能的に初めて行くところよりも一度訪れた場所のほうを信頼する性質がある。このとき、表示されたドメインを覚えてくれていたら「開いてみるか」となり、結果としてリピーターに繋がる可能性がある。
指名検索が繰り返されることでサイトは強くなる
Googleを含めた多くの検索エンジンは、検索順位の決定に「指名検索」を重要視している。
なぜなら、現在のGoogleは、「サイトの権威性」を何よりも重要視しているからだ。
例えば、荒木飛呂彦が出した作品を調べたいときは「荒木飛呂彦 Wikipedia」と調べる人が多いはずだ。これが繰り返されることで、検索エンジンはWikipediaというサイトを不特定多数に指名されるほどの権威を持っているサイトだとみなされる。
そして、Googleは「わざわざ指名されるほど役立つサイト」ならば「とても有用な情報を提供しているサイト」だと判断し、「検索キーワード」のみの場合でも検索順位を優遇する。だから、Googleで「荒木飛呂彦」と検索しても、1ページ目にWikipediaの記事が表示されるのだ。
「ブログ名」ではなく「ブログの管理人」をブランド化する
すこし古く、時代にそぐわない考え方かもしれない。いわゆる、個人そのものをブランド化するといった方法だ。
しかし、よく考えると、有名なブロガーやサイトの運営者は「ペルソナ」を持っている。そして、彼らは「△△で活躍している○○さん」と呼ばれている。そして、時として、彼らのペルソナは彼らが持っている「屋号」、いわゆる「ブログ名」よりも強いことがある。事実、彼らはハンドルネームで検索をかけても1ページ目に彼らのブログが表示される。
つまり、私はこういうことを言いたい。
指名検索はブログ名を検索することだけではないはずだ。
例えば、とてもニッチすぎるジャンルゆえ、検索結果にはいつも同じブログしか表示されていないとしたら、それはもう指名検索と同義だろう。ローカルな話題や、同好の士がとても少ない趣味、マイナーな文献や創作について調べた資料であれば十分あり得ることだ。そのテーマの検索キーワードそれ自体が、そのブログを指名している言葉になるということだ。
つまり、指名検索とは「ブログ名」だけではなく、「そのブログに関連づけられているキーワード」をすべてひっくるめたものだ。その定義を踏まえると、「ブログ名」とはブログを構成するキーワードの一部でしかない。
そして、時として「ブログ名」は変わることがある。長すぎるから、読みにくいから、印象に残らないから……。このとき、主にブログ名でしか指名検索が行われていない状態でブログ名を変更したらどうなるだろうか?もちろん、検索順位は大きく下がってしまうだろう。そして、またイチからブログ名を覚えてもらわなければならない。
では、ブログ名より「ブログを運営している自分の名前」でも少なからずの指名検索が行われていたらどうなるだろうか?ブログ名を変更しても、大きなダメージは負わないだろう。なぜなら、「ブログ名が△△から♢♢に変わっただけで、このブログは○○さんのブログだな」と指名検索の行動の結果から検索エンジンも認識するからだ。
つまり、「ブログの管理人をブランド化する」ということは、「ブログ名をふたつ持っている」ということである。
どちらか一方が変わっても、もう一方が変わっていなければ、検索順位に大きな影響は受けない。そして、著者による権威性は保たれる。
このように、ブログ名は変わりゆくものであると考えたら、ブログを管理している自分を売り出すほうがよい。そして、「自分」で指名検索が行われるようにするためには、「他人」と明確に区別できる、埋もれない言葉を使ったハンドルネームを考える必要がある。
なので、ハンドルネームにSEOを考えることは、とても大切なのだ。
ハンドルネームを考える上での基本事項
さて、それではどのようなハンドルネームにするべきなのかを考えていこう。
基本的にシンプルであればあるほどいいのだが、ネット上での自身の存在を確立するためにはよく考える必要がある。なぜなら、ありきたりだと埋もれてしまい、指名検索の意味を成さなくなるからだ。
被らないことが第一
既にあるものと被らない、これは何よりも大切なことだ。
インターネット世界では、先に始めたもの勝ちだ。特に、固有名詞ならなおさらだ。
当ブログを例に出すと、私のハンドルネームはかなり失敗している。なぜなら「マイクス・トム」の「マイクス」という部分は、同じ名前のアウトドアスポーツ用品店があるため、「マイクス」だけでは検索順位で勝てないからだ。つまり、私のブログのニックネームはブログ名でもハンドルネームでも指名検索に失敗しているというわけ。
このように、ハンドルネームを考えるうえで「被り」だけは絶対に避けなければならない。Googleは名詞の二番煎じが大嫌いだからだ。
安直なものは絶対にやめよう
安直なハンドルネームと言われて何を想像するだろうか?動物から何か取る?ワンピースが好きだからそのキャラクターから取る?残念ながら、それらはすべてアウトだ。
安直なハンドルネームとはこういうものを言う。
動物や植物・好きな偉人やキャラクター・本や映画の題名や内容・乗り物の名前・好きな言葉同士を並べただけ・セリフや格言・etc……
さて、上で挙げられた例を見て、あなたのモノに出来そうなハンドルネームはあるだろうか?あなたのブログは動物に関係なくても「パンダ」で検索順位に勝てる?映画に関係なくても「ダイ・ハード」で検索結果の1ページ目に存在できる?
絶対に不可能だ。
安直なものとは、誰でも1秒で思いつくものだったり、それが有名だったりするものだ。つまり、既に普遍的だったり有名だったりするのだから、新参者のあなたがそれを名乗っても、意味は無くただ埋もれる……いや、最初から有象無象の存在しないも同じだと検索エンジンに判断されるからだ。
だから、ハンドルネームは「パッと思いついた」ものではダメなのだ。
あなたのニックネームは全国に何人いるか考えてみよう
あなたは普段、家族や友人からどんなニックネームで呼ばれているだろうか?
もし、苗字が「山田」なら「ヤマ」だったり、「嶋野」だったら「しまっち」だったりするだろう。名前が「良平」だったら「りょうぺー」だとか、「由香里」だったら「ユカユカ」だったりするかもしれない。
では、上記と同じニックネームで呼ばれる人がこの日本に何人いるのか、それを考えた事はあるだろうか?
おそらく、1万人は優にいるだろう。
では、その中でブログやSNS、YouTubeをやっている人は何人いるだろうか?
最低でも1000人以上いるだろう。
つまり、よっぽど優れたネーミングセンスを持つ友人にでも恵まれない限り、あなたのニックネームはとても平凡ですごく当たり前なものになる。そしてそれは、家庭や学校、友人関係、職場などの、とても狭い世界でしか通用しない名札だ。その証拠に、Twitterのアカウント検索で、あなたが普段呼ばれているニックネームを入力して検索してみよう。同名のハンドルネームを持つアカウントはいくつ見つかっただろうか?
きっと、数えきれないほど見つかったはずだ。
ニックネームはハンドルネームにならない。
このことはよく覚えておいてほしい。
カッコよくても覚えにくいものはやめよう
さて、先に使われていたり、一般的なものはダメだということがわかった。
では、とても奇をてらったり、他と違うものを使えばいいんじゃないか?と考えたかもしれない。ハンドルネームを全部アルファベットにしたらオシャレ感が出そうだし、全部漢字を使って熟語のようにしたら和風でカッコいいかもしれない、と。
だが待って欲しい。それでいいのだろうか?
日本人は「アルファベット」が苦手だ
いきなりだが、この記事を読んでいる方に質問をしたい。
あなたは何も見ずに半角英数字入力を使って「Twitter」と入力できますか?
出来ました?本当に?それならいいんだけど。
きっと、多くの日本人はGoogleで「Twitter」を検索するとき、全角入力を使って「ついったー」と打ち込み、そのあと変換キーを押して「Twitter」に変換してから検索ボタンを押しているはずだ。
Windowsの変換機能は優秀だ。それはつまり、日本人の殆どは「全角入力」しか行っていないとも言える。なぜなら、アルファベットで構成されたサイト名や店名はオシャレだったりカッコよかったりするけれど、いざ筆記しようとしたときにアルファベットの並びを思い出せないからだ。
そして、変換予測候補の中に「日本語の発音を英語表記に変える予測」が出るためには、数千万人が数百万回、数年以上にも渡って変換し続けられたり、辞書登録される必要がある。その結果、ようやっと予測候補の中に存在することが出来るのだ。Instagram、Photoshop、iPhone、etc……。いったいどれだけの海外資本が日本での商標の定着に苦労したのだろう。
では、それらの事例を振り返って、あなたはハンドルネームをすべてアルファベットしたとする。それを自分以外の人はスペルを間違えずに打ち込めると思う?というか、自分でも間違えないか?きっと、大多数の人は「あの情報が載ってたブログって何だったっけ?管理人の名前が英語だったよな……思い出せん!」となるだろう。その時点でリピーターがサヨナラバイバイだ。だって、思い出せないのなら調べることが出来ないし、英単語でサジェストが出現するには相当有名なブログにならないと不可能だからだ。
よって、そもそも日本人はアルファベットにアレルギーがあるため、たとえカッコよくともオシャレであろうとも「英語のハンドルネーム」はオススメ出来ないのだ。
漢字だけのハンドルネームも避けるべき
では、すべて漢字で構成されたハンドルネームはどうだろうか?
例えば、「読書丸肇」だとか「筋肉大集合之介」のような、四字熟語や漢語みたいなハンドルネームだ。確かに、インパクトは抜群だろう。そして、すべて漢字なので日本人にはアルファベットよりも覚えやすい。
だが、これにはひとつ大きな問題が付いてくる。
誤変換
これがいちばん大きな大きな問題だ。
たとえば、先ほど例に出した「読書丸肇」、これをひらがなで表記すると「どくしょまるはじめ」だ。しかし、変換する際に「読書丸一」と誤って変換されて検索されたらどうなるだろうか?リピーターになるはずのユーザーは、あなたのサイトに辿り着くことが出来ないだろう。漢字の読みは合っているのに。
もちろん、Googleには「次の検索結果を表示しています」というキーワード修正機能があるじゃないか、と思う人もいるかもしれない。だが、その機能が自分に利するように働くには何年かかるのだろうか?その機能をアテにして、何年もハンドルネームを間違えられ埋もれ続けることを良しとすることはできない。
つまり、ハンドルネームの早めの定着を図るためにも、漢字の誤変換によるキーワードの分散は絶対に避けなければならない。
よって、ハンドルネームを考えるうえで「漢字」を使うという選択肢も、英語同様に現実的ではないのだ。
ひとにやさしいハンドルネームってなんだろう?
さて、先ほど挙げたことを考えていくと、このような結論に辿り着く。
それは、自分が満足するハンドルネームよりも、他人が覚えやすいハンドルネームにするべきだ、ということ。
思い出してみよう。あなたの記憶に残っているキャラクターや芸能人、商品や題名などは、とても単純で、ともすれば幼稚とも思えるような名前が付けられているはずだ。
それを元にして考えていこう。
日本人は「4文字」が大好きだ
さて、あなたの身の回りには、「4文字」の名前、もしくは「4文字」で略せる名前がいくつあるだろうか?また、「4文字」で発音できるものはいくつあるだろうか?
ここで、その一部を紹介したい。
上で紹介した例は、ほんの一部だ。そして、あなたはこれらの例を見て「これもあるよ!」とか「この略称もそうじゃない?」と考えるだろう。
そうだ、つまりこういうことだ。
日本人は本能的に「4文字」が大好き
ここ日本では、最初から「4文字」だったものは一気に浸透するし、長たらしかったり書きにくかったりするものはいつの間にか「4文字の略語」になってしまう。
特に4文字に略するという行為は、よほど略するのが難しい響きでなければマスコミが良く行っている。例えば、「ズームインサタデー」が「ズムサタ」といった具合だ。メディアが主体となって行うので、いつの間にかに世間に広がっている。
なので、日本人は物心がつく前から「4文字」が大好きで、かつ「4文字に略する」という行為に親しみを覚えているのだ。
これらのことを踏まえると、ハンドルネームは絶対に「4文字」にするべきだ。少なくとも「5文字」は超えないようにすること。
もし、4文字以上のハンドルネームになってしまうのならば、必ず「4文字略」を表記すること。そして、プロフィールボックスや投稿記事にしつこいほど表記し、周知を徹底させよう。
促音・濁音・半濁音が存在すると印象に残りやすい
ハンドルネームを考えるうえで、ただ言葉の並びだけを考えるのではなく、音の「響き」を大事だと考えた人もいるだろう。
その通り、この世の中に溢れているものを見ていると、強く印象に残るもの、ポップなイメージを持つもの、カッコよさを感じさせるもの、そのどれもが「小文字」「濁音」「半濁音」を持っている。そして、場合によってはそれらがミックスされている。
例えば、「ダルビッシュ有」。日本のみならずメジャー屈指の本格派投手にして、球界のスーパースターだ。「スーパーマリオブラザーズ」。任天堂を代表するゲームで、今なおマリオたちは世界中の子供たちに親しまれている。
このように、強い印象を持っている言葉には、必ずと言っていいほど「小文字」「濁音」「半濁音」が入っている。
なぜなら、リズム感があり、弾むところ、強く読むところ、低く読むところが明確なため、覚えやすいからだ。
それでは、「濁音」と「半濁音」の例を見ていこう。
濁音が入るタイトルの作品は、男子・男性向けの内容が多く、響きだけでも勇ましさを感じることが出来る。また、高級車や高級腕時計の会社名や商品名にも濁音はよく使われている。
このように、濁音は力強さやカッコよさを前面に押し出したいとき、または高級感を漂わせたいときに使用されることが多い。
では、半濁音はどうだろうか?
半濁音が付く言葉には会社名や商品名も多いが、その中でもどちらかというと子供向けの、楽しさがあふれるイメージを持つ。
なお、半濁音が持つ不思議な力は、ここではすべて説明しきれないのでは、下の見出しを読んでほしい。
ぱぴぷぺぽの魔法
あなたは、「ぱぴぷぺぽの魔法」というマーケティング用語を知っているだろうか?
ヒット商品や流行語には必ず「半濁音」が存在するという法則性を表した言葉だ。
考えてみると、「パピコ」「ポリンキー」「トッポ」「オッパッピー」「パプリカ(米津玄師の歌)」「小力パラパラ」「ポケモン」「パワプロ」「アンパンマン」「おどるポンポコリン」「パパイヤ鈴木」……。思いつくだけでも10個くらいならパッと出てくるはずだ。
この「ぱぴぷぺぽ」という発音、つまり「破裂音」は、赤ちゃんが真っ先に覚える言葉だと言われている。また、子供が特に好んで発音する言葉とも言われる。確かに、「ママ」よりも「パパ」のほうが覚えやすく、そして笑顔になれる発音のように感じる。さらに、半濁音で構成された、または組み込まれた単語は、日本のみならず世界中の子供たちが大好きな発音だと考えられている。「ポパイ」なんかがそうだろう。
だいたい、子どもが好きだ!面白い!と思えるものは、大人にも楽しげな印象を与えるものである。それは、子供の頃を思い出し、懐かしさと楽しさを覚えるからであるかもしれない。
なので、「ぱぴぷぺぽ」が入った言葉はヒットすると言われているのだ。
「ひらがな」は入力しやすい
では、必ずしもハンドルネームに濁音や半濁音を混ぜ込まなければならないのだろうか?と言われたら、考えてしまう。
例えば、パソコンから小さい「つ」を入力するには、キーを2回叩かなければいけない。小さい「あいうえお」を入力するには、先に「X」キーを押さなければならない。つまり、その入力方法を知らない人がいるかもしれない、ということだ。
なので、必ずしも濁音バンザイ、半濁音バンザイと言い切ることは出来ない。
同じく、少し前の見出しで話した漢字問題と同じく、「カタカナ」にも変換問題が付きまとってくる。つまり、こういうことだ。
すんなり変換できるのか?
例えば、ハンドルネームを「サシスセ」にしたとする。カタカナの4文字、オーソドックスな形だ。では、ローマ字入力で「さしすせ」と打ち込み、それを変換してみよう。うまく一発で変換できただろうか?
きっと、「差し巣瀬」と変換されてしまった人が多いはずだ。
もちろん、OSの入力変換機能は個人個人にパーソナライズされているため、一概に断定することは出来ない。しかし、1回目はすんなりと変換できなかったはずだ。
そう、この日本のインターネットでは、いつになっても変換に関する煩わしい問題が残ったままなのだ。
ひらがなのハンドルネームが好まれているわけ
ここまで読んだら、もうわかってきたことだろう。
「みちょぱ」、「あいみょん」、「ゆりやん(レトリィバァ)」、「ゆず」、……。彼らが芸名を「ひらがな」にしているのは、変換する手間を無くしたいからだ。
ひらがなのハンドルネームは柔らかな印象を与え、親しみを持たれやすい。そのうえ単純で、変換したときにかかるひと手間をかけさせない。ハンドルネームの中では最強の部類だろう。
ただし、何も考えずに真似するのは危険だ。下の事例を読んでほしい。
思わぬ落とし穴も
さて、なぜ「ゆず」は、Google検索で、あの「Wikipedia」を抑えて検索結果の1ページ目を制圧することが出来ているのだろうか?
答えは簡単で、彼らはここ日本では知らない人はいないというほどの、「超有名なミュージシャン」だからだ。彼らのオフィシャルサイトは無数のブログやSNSからリンクを受け、有名無名問わず無数のメディアや情報サイトまでもが彼らの話題を記事にする。つまり、彼らはリアルの世界でも顔を出して活躍しているため、「無意識の支援」を受けられる地位にいる人たちなのだ。
しかし、これを一般人がやってしまうと、場合によっては悲しい結末が待っている。
2020年、Googleは度重なるアップデートの末、ついに「サイトの権威性」を大幅に重要視するようになってしまった。いわゆる、「コアアップデート」というやつである。
この結果、生き物の名前(カタカナ)をそのままハンドルネームに冠したとあるブロガーの「ハンドルネームの検索結果」が、Wikipediaや辞書サイト、研究機関の公式ページに追いやられ、彼のブログは何ページも後ろに表示されるようになってしまったのだ。もちろん、関連キーワードにも「彼のハンドルネーム ブログ」というキーワードは消えてしまった(サジェストではちゃんと候補が出る)。それまでは、ハンドルネームでも検索順位は1位だったはずなのに、だ。
このように、「生き物や植物、普遍的なモノ」を「そのまま」、もしくは「ひらがな」でハンドルネームにしてしまうと、このようなことが起きた時になにも対処できなくなる。なぜなら、長年使ったハンドルネームを変更することは難しいからだ。
また、未来のことも考えなければならない。
例えば、「シンガーソングライターのあいみょん」がメディアに登場する前から、「ブロガーのあいみょん」がいたかもしれない。では、いまそのハンドルネームの検索結果を想像したら、どのような状況が思い浮かぶだろうか?
きっと、検索結果の順位は「シンガーソングライター」のほうに追いやられ、関連キーワードも制圧され、「ブロガー」のほうは存在しないことになっているだろう。「あいみょん ブログ」でも1ページ目に表示させることは不可能かもしれない。
なので、「安直なものはやめよう」の項目でも言ったように、この裏ワザが使えるのは、バックにとてもデカい広告代理店がいて、なおかつ自分自身も国民的・世界的に知名度がある場合だけだ、と憶えておこう。
このため、ひらがなのハンドルネームを使うことは少々危険なのだ。
たとえ、自分以外絶対に使うはずがないと考えていても。
【まとめ】完璧は追い求めず、妥協しつつもオリジナリティを出すことを考えて
ぶっちゃけると、完璧なハンドルネームなんて存在しない。
既に使われているものも多いし、自分以外絶対に思いつかないと思っても、後から超有名なアーティストに曲名で使われてしまったり、同じハンドルネームで新人賞を受賞する漫画家が出てくるかもしれない。
ただし、以下に挙げるものだけは絶対に守ってほしい。
動物の名前など、安直なものは使わない
アルファベットで構成されたハンドルネームは禁止
漢字だけのハンドルネームも避けるべき
ニックネームをハンドルネームにしない
そして、こちらも必ず覚えておくこと。
略した場合、必ず4文字にできる
この4つを守りつつ、オリジナリティが溢れて、検索順位でも勝てるハンドルネームを考えてみてほしい。
今回は、ひとまず「ニックネーム編:第一章」ということにしておきたい。
なにぶん、気が付いたら1万字にも達してしまったので。
それでは、また。