今回は、PHPのアップデートを行う目的を解説する。
また、アップデートを行う際にやっておいた方がいいこともあわせて紹介したい。
PHPのバージョンを上げる目的とは
さて、なぜWEBサイトで使用中のPHPのバージョンを上げたほうがいいといわれているのか?
主にふたつの理由があるので、それぞれ説明したい。
パフォーマンス向上
始めに、WordPressは公式のインフォメーションで、常に最新のバージョンのPHPを使うことを強く推奨しているということを、常に憶えておいてほしい。
まずは、こちらのサイトや、こちらのサイトで行われたPHPの各バージョンとWordPressとのベンチマークの記事を軽く読んでみよう。
以上のサイトで示されているグラフを閲覧すると、「PHP 7.~」系統のバージョン間でのパフォーマンスの差は微々たるものだが、「PHP 5.~」系と「PHP 7.~」系の差を比べた場合は一目瞭然である。
この理由は、PHPはバージョンが上がるごとに取り込まれる様々な構文や関数などによって、パフォーマンスの向上やリクエストの処理にかかる時間の改善などが行われるからだ。特に、「PHP 5.6」と「PHP 7.0」に大きな差が存在している理由は、「Zend Engine 3」の実装によるものが大きいだろう。
よって、PHPそれ自体に使われるコードの改善であったり、PHPが動く際に使われるメモリの使用量の抑制などにより、サーバーやブラウザの性能はもっと引き出され、WEBサイトの応答速度は加速する。
なので、PHPのバージョンをアップデートするということは、WEBサイトの高速化のためにもなるということだ。そして、それは「PageSpeed Insights」のスコアの上昇にも関わってくるということ。
このため、SEOのことを考える上でも、PHPのバージョンを上げてWEBサイトのパフォーマンスを改善させることは大切なのだ。
セキュリティ対策
PHPのサポートは、通常「3年間」行われている。その内訳を解説すると、最初の2年間は「活発なサポート」と「セキュリティだけのサポート」がそれぞれ行われており、最後の1年は「セキュリティだけのサポート」にとどまる。
では、4年後からはどうなるのか?
その答えは、セキュリティのサポートも打ち切られる。つまり、サポート終了だ。
例えば2020年現在、多くのサイトで使われているであろう「PHP 7.2」のサポートは「2020年11月30日」に終了する。つまり、それ以降に重大なセキュリティホールが見つかったとしても、それを塞ぐメンテナンスが行われることはないということだ。
このため、パフォーマンス面だけではなくセキュリティ面を考えても、PHPのバージョンは常に最新の状態、それが難しいのであれば、せめて「セキュリティのみのサポート」版にしておきたい。
なお、PHPのサポート状況やサポート期間については、公式サイトを見てみよう。
バージョンアップの前にやるべきこと
さて、パフォーマンスとセキュリティの両方で、PHPのバージョンアップは大切だということが解った。
なので、今すぐにでもPHPの更新を行いたくなったかもしれない。
だが、PHPのバージョンを上げる前にいくつかやっておいた方がいいことがある。
現在のPHPバージョンを確認しよう
まずは、WEBサイトのPHPのバージョンを確認してみよう。
例えば、レンタルサーバーと契約したばっかりの場合であれば、PHPのバージョンも最新の状態に設定されているだろう。また、レンタルサーバーによっては、PHPのバージョンを自動で更新してくれるところもあるかもしれない。
なので、本当にPHPのバージョンを上げる必要があるのか、最初にチェックすることが大切だ。
なおWordPressでは、標準搭載された機能を用いて、現在使用中のPHPバージョンを確認することができる。
互換性をチェックしよう
さて、WEBサイトのPHPバージョンを確認して、バージョンアップの必要性があるとわかったかもしれない。
だからと言って、サーバーのコントロールパネルに直行するのは禁物だ。
PHPのバージョンアップを行う前に、テーマやプラグインに新しいバージョンのPHPと互換性があるかを忘れずに確認しよう。
この理由は、先ほど説明した通り、PHPはバージョンが上がるごとに様々な新しい要素が取り入れられてきた。だがもちろん、その一方で削除されたり非推奨になったりする関数や構文も存在している。
そういったものの存在を確認しないままPHPのバージョンを更新すると、WEBサイトを壊してしまう可能性があるのだ。
特に、「PHP 5」から「PHP 7」にかけて、多くの機能が追加され、そして少なからずの機能が変更・削除・非推奨となった。これと同じことが、「PHP 8」でも起きるだろう。
なので、現在使っているテーマやプラグインが新しいバージョンのPHPに対応しているかどうか、つまり互換性のチェックは必ず行って欲しい。
もちろん、バックアップを取ることも忘れずに行おう。
万が一、新しいバージョンのPHPにアップデートした際、WEBサイトが不具合を起こしてしまったときは、バージョンダウンさせるだけでは引き続き不具合が発生する可能性があるからだ。
PHPのバージョンをアップするには
さて、ちゃんと互換性があるかどうか確認できただろうか?
確認できたのなら、PHPのバージョンアップを行おう。
通常、PHPのバージョンを変更するには、契約しているレンタルサーバーの「コントロールパネル」から行う必要がある。Xサーバーやロリポップサーバーのように専用のコントロールパネルを使うところもあれば、Mixhostのように「cPanel」というものを使うところもある。
なお、「cPanel」よりPHPのバージョンを更新する方法は、以前記事にしているのでそちらを参考にしてほしい。
終わりに
今回は、なぜPHPのバージョンアップが必要なのか?その理由と目的を併せて解説した。
PHPのバージョンアップを行うことで、WordPressが公式に発しているインフォメーションに書かれている通り、WordPressの性能が向上し、安全性を保障してくれるからだ。
とはいえ、OSやソフトウェアにおいては、新しければ新しいほど良いというわけでもない。なので、WordPress側が最新版のPHPの安定性を確認し、告知したのを確認してからバージョンアップを行うようにしよう。
また、テーマやプラグインの互換性をチェックすることも忘れずに。
それでは、また。